エピローグ

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渋谷の片隅に建つ雑居ビルの地下に、私達の店「bar寄り道」はある。 「お客さん、来ないわね」 グラスを磨きながら、依子が言う。 「そうだね。今日はもう閉めちゃおうか」 カウンターを拭きながら私は答える。 その時、外から獣の匂いや血の匂い、香水の香りや線香の香りが混ざり合ったような強い匂いが漂ってきた。 カランコロン。 ドアベルが鳴った。 「よかった、助かったあ。しばらく仕事が忙しくて来られなくて、体があんまり重いから、何とかしてもらおうと思ってきてみたら、張り紙があって店が閉まってて。何度来ても店が開いてないから、もうこのまま閉店しちゃうのかと思った」 そこには、青木がたくさんの犬や猫、青白い顔の女性や血だらけの男性、その後ろには少し困った顔のおばあちゃんを連れて立っていた。 私と依子は顔を見合わせて笑った。 「あの、僕、これからもここに来ていいですか?」 青木が少し恥ずかしそうに言った。 私と依子は顔を見合わせて、頷き合い、声を合わせて言った。 「もちろん。bar寄り道へようこそ!」
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