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その姿を私は横目で見て笑みが零れた。
でも、笑みが零れ落ちたあと、私の中に何かがぽっかりと穴が開いた感覚に襲われる。
はやてを見る私から笑顔は消えて、きっと曖昧な表情になってるんだと思う。
「ねぇ、はやて」
私ははやての名前を呼んだ。
「はやてはヒーローになりたいの?」
そして、胸の奥に閉まっていた言葉を口にしていた。
はやては目を丸くする。
それもそのはずだ。はやての前で、私はヒーローという単語を口に出すのを極力避けていた。
はやてだって同じだ。私に自分の夢について語ったことはない。
はやては小さく頷く。
「なりたいって思ったヒーローがいてね」
はやては真っ直ぐと私を見て質問に答えてくれた。
「でも、本当は怖い」
「えっ……?」
「足元を見るんだ。自分の能力とか考えて、やっていけるかなって」
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