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破って捨てることには抵抗があった。私にとって何も価値がないものだけど、ヒーローになりたがっている人間達には喉から手が出るほど欲しいものだろう。
屋上に行き、紙飛行機をそっと投げる。
すると、上手く風に乗ったのか高く舞い上がった。
私は青紙を舐めすぎていたようだ。
青紙自体は何故か戻ってくるとかいう展開もなくちゃんと飛んでいった。
問題はそのあとだ。アレを飛ばす姿を見られていた。
しかも、一番見られたくない人間に、だ。
「かえで……?」
その声を聞いたとき、私の身体は粟立った。
振り返ると、俯くはやてがいる。
私は迂闊だったと後悔した。もっと慎重に行動すべきだった。
はやてはいわゆる、お隣さんだ。私の記憶では確か風を操る特殊能力があったと思う。
でも、それは微弱なもので真夏にちょうど良い程度の能力だ。
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