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私はやりたいようにやっただけで、自分が悪いとは思ってない。
それに、はやてがどう思おうと関係がないことだ。
だから、はやてに謝らない。
私は早朝のゴミ拾いを終える。
ゴミ袋一つ分のゴミの量を見て、なかなか減らないなって溜め息を吐いた。
ゴミ拾いは別にやりたくて始めたことじゃない。
最初はダイエットのためにジョギングでもしようと思っていた。
だけど、あまりにも空き缶やらおにぎりのカラやらが目に付いて気になって始めた。
特にこういうことは苦痛じゃない。
自分がやりたくてやっていることだし、最低限この町ではテレビの中のヒーローよりゴミ拾いする私の方が役に立ってると思えるから嫌いじゃない。
不純な理由だから善行をしてるとは思わない。
「君、偉いね。ヒーロー向いてるよ」
溜め息混じりにゴミ袋を家に持ち帰っていると、声を掛けられた。
私の目の前に、顔をマスクで隠して全身タイツを着た筋肉質の男が立っていた。私はいかにも――な人間だと思った。
「――覆面プロレスラーの方ですか?」
大体の正体を察した私だけど、冗談めいた言葉で返した。
彼はハハハッと私の言葉を笑い飛ばす。何にも思ってない様子に、私は面白くなかった。
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