ヒーローへの片道切符

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 私はこの教室の雰囲気が嫌いじゃない。勉強しなきゃ、と思わせてくれる。  受験。それは刻一刻と迫っている。  結婚以外に夢もなく平凡な人生を送りたい私は、先生に言われた通りの所を受けるつもりだ。  一応、私はそこに合格するつもりでいる。  自分で言うのもアレだが、公立校くらいは受かる頭をしてると自分では思っている。  だけど、人生は何が起こるかわからない。そうは思っていても不合格なんてことも充分ある。  私には通過点としか思えない高校に対して、必死に行きたいと死に物狂いで頑張っている人間だっている。  だから、私もやれるだけのことをやらなきゃダメだとも思う。  私には変な所で立ち止まる余裕なんてない。余計なことを考えずに受験に集中しなきゃ。  人間の一生っていうのは結構短かったりもする。  それは公務員だろうが会社員だろうが関係なく、死ぬときは死ぬ。  だから、私は自ら寿命を縮める真似はしたくない。  なるべく安全圏で私は生きる。危険なことは絶対にしないし、危機が迫ってきたら真っ先に逃げる。
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