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「――こんにちは。ヒーローってよっぽど暇なんですね」
「いやー、なんだか平和な町でね」
我ながらかなり刺々しい言葉だと思ったが、ヒーローは何も感じていないようだった。
「君、良い町に住んでるよ」
ヒーローの言葉に私は視線を下に向けて「そりゃ、どうも」と返した。
目が少し泳ぐ。ここが平和な町だと言われて気づいたからだ。ただの平凡な町だと思っていた。
「頑張ってるよね。あの少年」
ヒーローは私の動揺に気づかず、マイペースに話を続ける。
ヒーローの視線の先には、はやてがいた。
「彼、運動部か何か?」
「――いえ、帰宅部です。ただ、ヒーローに憧れてやってるだけで……」
私はペラペラとはやてについてヒーローに話そうとしたが、止める。
「――きっと声を掛ければ喜ぶと思いますよ」
「いや、頑張ってるのを邪魔するのは良くないよ」
「そうですか? 走り込みより現役ヒーローの話の方が色々と今後に役立ちそうな気がしますけど」
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