一章 暴れ龍兄弟爆誕

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◇◇◇ ユルは、ドゥルジ達を見送ると門の前で座して、指示を与えているオババの元へと向かった。 オババは、女達を武装させ少女達には、石を拾ってくるように指示した。 村に残る少年達十名は、大巫女が指示した所の土を掘っている。 「オババ様。」 「ユル。神の丘に登って何か視えたかい?」 ユルは、首を横に振った。 そして、杖をオババへと差し出し出した。 「僕にはチョルモルの目は授かれませんでした。ので、杖はお返しします。」 「……それが、お前の選択かい?」 杖を返す。ということはシャーマンにならないと言うことだ。 「ええ、僕はシャーマンになれないようです。」 オババが大きな息を吐いて、その差し出された杖を受け取ろうとした時 「嘘よ!!」 小石をたくさん抱えたチヌアが叫んだ。 その横にいるセオラも小石を抱えている。 2人は、おばば様が指示した所に小石を落とすと、足早にこちらに駆けて来た。 「兄様は、嘘をついてるわ!!」 セオラが涙を溜めて叫んだ。 「嘘つきだわ!」 とチヌアも言う。 チヌアはユルより4歳下の妹である。 セオラはそれより1歳である。 2人は年子にも関わらず、そっくりなので双子と見間違えられる。 大きな青い瞳には、涙をいっぱいに溜めている。白い肌に赤茶けた髪は肩より少し下に垂れている。
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