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ウゥルは、涙目になりながらも頷いた。
「ウゥル、左だ。」
ゾンが岩に耳を当てると、そう言った。
ウゥルは、弩の引き金を引いた。
ザシュリと、嫌な音がして、続いて転がり落ちる音を聞いてウゥルは、震えそうになる唇を引き結んだ。
鳥は撃ったことがある。
うさぎも撃ったことがある。
だが、人に撃つのは初めてである。
ハワルにしても、ウゥルにしても、早すぎる初陣である。
ゾンは、ウゥルに手を伸ばそうとしたが、耳が足音を拾ったので
「ハワル兄、右上だ!ナマル、左下っ!」
ゾンは、村一番耳が良いのだ。
足音を聞き分けて、場所を特定しそれを兄と弟達が弓を引くのだ。
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