一章 暴れ龍兄弟爆誕

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ウゥルは、涙目になりながらも頷いた。 「ウゥル、左だ。」 ゾンが岩に耳を当てると、そう言った。 ウゥルは、(いしゆみ)の引き金を引いた。 ザシュリと、嫌な音がして、続いて転がり落ちる音を聞いてウゥルは、震えそうになる唇を引き結んだ。 鳥は撃ったことがある。 うさぎも撃ったことがある。 だが、人に撃つのは初めてである。 ハワルにしても、ウゥルにしても、早すぎる初陣である。 ゾンは、ウゥルに手を伸ばそうとしたが、耳が足音を拾ったので 「ハワル兄、右上だ!ナマル、左下っ!」 ゾンは、村一番耳が良いのだ。 足音を聞き分けて、場所を特定しそれを兄と弟達が弓を引くのだ。
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