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「なんだ、こんなものか。」
とバドゥは、冷え冷えと呟いた。
いや、親父殿の仇はあと19人もいるから、これで終わりではないのか。
「追いかけるか。」
アルスランの声でバドゥは、我に返った。
敵の馬影はすでに見えなくなっている。
「いや、計画通りに岩山の奴を討つ。」
「わかった。…バドゥ、俺の母のことは誰にも言わないでくれ。特に妹には知られなくない。」
アルスランの顔が苦痛に歪んだ。
「わかった。誰にも言わない。」
バドゥは、頷いた。
(言えるものか。)
まさか、奴等がここまで非道なことをしているとは思ってもみなかった。
(女の武人は、アルスランの母親と…長の妻…。)
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