一章 暴れ龍兄弟爆誕

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◇◇◇ 「もうすぐ、来るようですよ。」 と、ユルは地面に耳を当てて言った。 短い時間の間で、策は終えてある。 オババは頷くと、ナウンゲリルを手招いた。 「ナウンゲリル様」 ドゥルジとアヤンガの11歳になる妹のナウンゲリルは、怯えながらもオババの元へ向かった。 オババは、門の入り口に座しており、 その前にユルとアルスランの妹ターニャとターニャと同い年の12歳の少年ユベクが弓を携えており、オババを挟んで後方には、50歳~14歳までの女が同じく弓を携えている。 戦場の雰囲気にナウンゲリルは、怯え戸惑っていた。 「ロー家の者なら堂々としなされ。」 低い声でそう叱咤され、ナウンゲリルは背筋を伸ばした。 ロー家の者は、今ここに自分しかいないのだ。 父と母は戦場へ行き兄達2人も戦場へと向かった。 ロー家の者は村人を守らなければならない。それが、不文律だ。 ナウンゲリルは、唇を引き結ぶと 「私達は、戦神の血を引く!だから、この村を脅かす外敵は排除する!!」 母親の言挙げを真似て幼い少女は声を張り上げた。 「応!」 と女 達の声が上がった。 夫の、男達の留守を守るのが女の勤めだ。 男達が居なくなった空の村を襲撃されてもいいように、女達も武器の鍛練は怠っていないのだ。
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