32人が本棚に入れています
本棚に追加
「オババ様、後方へ」
と、タラルがオババを後ろへと引かせた。
「ナウンゲリル様も」
と、妙齢のシャナがナウンゲリルの手を引いた。
二人が後方へと下がった直後、馬の蹄の音が聞こえてきた。
ターニャとユベクは、弓を構えた。
略奪者達は、弓の射程圏外で一度止まり、村を眺めまわした。
「へーぇ、結構広いし、綺麗なおねーさん方がたくさんいるなぁ。」
と、舌なめずりする声に、ターニャは顔をしかめた。
兄と同じように猫毛で髪をポニーテールに結んでいる。
「待ってくれ!!」
後方から男の声がして、ターニャは顔だけ後ろに向けた。
ツェグが、茶色のフェルトの袋を抱えながら、走って来た。
そして、門の前に出るなり、その一抱えある程の袋を掲げた。
「頼みがある!この村の宝を渡すから、俺をあんたらの仲間にしてくれ!!」
その発言に皆が目を剥いた。
戦場から逃げ出し、その上、宝を献上するから略奪者共の仲間になるなどと。
タムが品定めをするように、ツェグを馬上から見下ろした。
「まずは、そのお宝とやらを見てからだ。」
と、よこせと手振りで示した。
最初のコメントを投稿しよう!