一章 暴れ龍兄弟爆誕

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「オババ様、後方へ」 と、タラルがオババを後ろへと引かせた。 「ナウンゲリル様も」 と、妙齢のシャナがナウンゲリルの手を引いた。 二人が後方へと下がった直後、馬の蹄の音が聞こえてきた。 ターニャとユベクは、弓を構えた。 略奪者達は、弓の射程圏外で一度止まり、村を眺めまわした。 「へーぇ、結構広いし、綺麗なおねーさん方がたくさんいるなぁ。」 と、舌なめずりする声に、ターニャは顔をしかめた。 兄と同じように猫毛で髪をポニーテールに結んでいる。 「待ってくれ!!」 後方から男の声がして、ターニャは顔だけ後ろに向けた。 ツェグが、茶色のフェルトの袋を抱えながら、走って来た。 そして、門の前に出るなり、その一抱えある程の袋を掲げた。 「頼みがある!この村の宝を渡すから、俺をあんたらの仲間にしてくれ!!」 その発言に皆が目を剥いた。 戦場から逃げ出し、その上、宝を献上するから略奪者共の仲間になるなどと。 タムが品定めをするように、ツェグを馬上から見下ろした。 「まずは、そのお宝とやらを見てからだ。」 と、よこせと手振りで示した。
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