一章 暴れ龍兄弟爆誕

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ツェグは、小走りにタムへと近づき、袋を手渡した。 タムは、ずっしりとしたその袋を受け取り、袋の口を開けた。 「雷が入った水晶で、とても珍しくて綺麗なお宝なんだ。」 とツェグは上気した顔で言った。 こんな珍しいお宝なんだ。こいつらも気に入って、俺をきっと仲間にしてくれるに違いない。 タムが袋に手をつっこんで、出てきたのは丸い石だった。 ただの、灰色の丸い石。 「…は?」 ツェグは、目の前の光景が理解できなかった。 「これが、お宝、ねぇ?」 タムの目が怒りで細められる。 「そ、それは、何かの手違い、で。」 ツェグは、何かに思い至ったように、振り替えってユルを見た。 ゴツッンと、鈍い音が聞こえた。 「いらねぇから、返す。」 タムのその言葉で、石が自分の脳天を直撃したのだと悟り、そして視界が真っ黒になった。 「あんたっっ!!」 ササリが、頭から血を吹き出して倒れる夫を見て悲鳴を上げた。
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