一章 暴れ龍兄弟爆誕

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ササリが駆け出しそうになるのを、ツェレンが止めた。 「ユル!!あんた!!あんたが、袋の中の水晶と石を変えたんだね!?」 ユルは、涙を流しながら怒り狂ったササリを見て、小首を傾げて笑んだ。 「さあ?存じあげません。」 そして、ユルは正面に向き直り、弓を構えて引き絞った。 天に祈りを捧げていたオババ達の声が止まった。 「何をする気だいっユル!!」 立ち上がりそうになるオババをタラルは、後ろから羽交い締めにして、その場に留まらせた。 ユルの指示である。 ユルは、糸目の目を大きく見開いた。 青い瞳が略奪者共を映し出す。 「何てっ、害虫の駆逐ですよ?。」 言葉とは、裏腹に口調は柔らかい。 「お前は!!血塗られたその手で天に祈る気か!!」 「チヌア、セオラ!!風を呼べ!!」 オババの両脇に座っていたチヌアとセオラは祈りを再開した。
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