一章 暴れ龍兄弟爆誕

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「天に祈るだけでは、救われませんよ。」 ユルはそう冷たく言い放つと、弦を極限まで引き絞り、矢を射た。 「んな所から届くわけが」 はっ、とタムは笑った直後、隣の馬上にいた奴の首もとに矢が刺さり後方へとふっ飛んだ。 「なにっ!?」 「僕の父様は、弓の腕が良い武人でして。」 「あの赤毛、見たことがあるぞ。なあお前の父親の最期を教えてやろうか?」 ニタニタとしながら、男が言った。 ふわり、とユルの頬を風が撫でた。 ユルは、後方に手で合図をした。 「はぁ。観たので知っています。」 と、一斎に矢が放たれた。 矢は追い風を受け、加速し馬上の上へと降り注いだ。 ザシュッ、 ブシュッ、 「ぎゃああっ」 矢があちらこちらに刺さり、馬が慌てふためき、地面の穴に足をとられ、転げ、ズチャリと地面に叩きつけられ、人であったものを馬が踏んでいく阿鼻叫喚である。 女達は、手を止めることなく矢をつがえた。 矢が尽きる頃には、血溜まりの中に、男が二人立っていた。 「二人も残ってしまいましたか。」 と、呟くようにユルは言った。 タルとデイは、人を盾にして難を逃れたようだ。 「ターニャ、矢は?」 「全部使ったわ。」 「では、後方へ下がっていてください。」 「剣も使えるわよ?」 ターニャは、足手まといだと判断されたと思って憤慨した。 「いいから、後ろへ!」 と、凄い剣幕で言われ、ターニャは渋々後方へと下がった。
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