32人が本棚に入れています
本棚に追加
ズチャリ、とタムが血袋を放り投げると抜刀し駆けて来た。
ユルとユベクは剣を構えた。
「ユベク、後ろへ!!」
タムは、一足飛びでユベクの元へと剣を振りかざした。
ユベクは、難を逃れた。
「思い出したぞ」
血まみれのタムがニタリと笑いながら、ユルを見た。
「チュルモルの目だ。」
ユルは、一歩下がった。
「全てを視るというチュルモルの目だ!」
タムは、ニタニタと笑いながらユルに近づいた。
「その目を食べたら、未来が見えるという」
タムは、ユルの胸ぐらを掴んで宙へと浮かせた。
「そんな、ホラを信じてるんですか?」
ユルは、小馬鹿にしたように笑った。
「じゃないと、この状況はねぇだろうよ?なあ?お前が視て、視た通りに動いたんだろう?」
タルの目はギラギラしながら、ユルの青い目玉を見つめた。
「チュルモルの目は、どっちだ?右目か?左目か?」
ユルは、抵抗しようとした手を止めて、体の力をだらりと抜いた。
「それとも、両目を頂けばいいのか」
タルの首が下がった瞬間
ザシュッと音がして、ユルは血飛沫を浴びた。
目の前のタルの首もとに矢が刺さっていた。
「この餓鬼っっ」
デイがユルに向かって剣を上げ、ユルはお辞儀をするように頭を下げた。
最初のコメントを投稿しよう!