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遊牧民の集団が、各地にあり戦で自分の部族や土地を拡大していった時代である。
このローの一族が治める土地にも、他の部族が侵略しようとしてきていた。
「たっ、大変だっっっ!!?長が殺られたっっっっ!!?」
血まみれの男が村に駆け込んで来た。
ゲル(家)から女子供、老人が出てきて、青冷めた。
隣の部族が攻めこんで来ると聞いて、長と男達は迎え撃ちに行ったのだ。
「若っっ!」
人ゴミをかき分けて、今年13になったばかりのドゥルジと一つ年下のアヤンガが負傷した戦士に近寄った。
「父上が亡くなったと?」
ドゥルジの声は強ばっていた。
な真っ白い肌にひょろりとした体格で、肩までの黒髪を所々三つ編みにし飾りにビーズも編み込んでいる。
「そんなことがあるはずがないっ」
アヤンガが吠えるように言った。
兄よりも五センチ程背が高くよく日に灼けた肌である。兄はまっすぐな髪質であるのに対しアヤンガの黒髪はゆるやかなウェーブである。
ドゥルジは弟を目で制すると、戦士に向き直った。
「詳しく話してくれ。」
「は、はい。トワナ川の上流で、奴等と戦闘になりまして、向こうには三百の戦士がいやがった。」
三百、と聞いて後ろから悲鳴があがった。
この村の戦士はせいぜい30人だ。
数が圧倒的に違いすぎる。
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