一章 暴れ龍兄弟爆誕

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「それでお前は自分だけ逃げ帰って来たのか。」 ヒヤリとする言葉に、二十も下の子供に震いあがった。 「お、俺は女房や子供が気になって」 ドゥルジは、じろりと戦士を見上げた。 ドゥルジが口を開く前に、間延びした声が聞こえてきた。 「そのお陰で、一早く情報が知れたからいいじゃないですか。」 村の入り口にこしらえた二つの木の柱の間から、杖を持った少年が現れた。 「ユル。」 ドゥルジが少年の名前を呼んだ。 ユルが杖をつく度に、杖につけられた鈴と木札が音を鳴らした。 「ツェクおじさん、ここからその川までどれくらいかかりますか?」 ユルは戦士、ツェクの顔を覗きこむように聞いた。 ツェクは、思わず怯んだ。 「馬で一時間くらいだ。」 「へぇ。」 と、考えこむようにユルは拳を口に当てた。 「…何を考えている?ユル?」 ユルは、ぱっとドゥルジを見て 「次の長はドゥルジ様だ。」 声高く言い放った。
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