高校へ

6/6
15人が本棚に入れています
本棚に追加
/167ページ
 慶吾の部屋に着くと、慶吾は「疲れてない?」と言って僕の手を握って、もう片方の手で頭を撫でてくれた。  新しい環境で少し気疲れしていたけど、疲れは一気に吹っ飛んでいった。  抱きつきたい気持ちになったけど、まだそこまで大胆な事は出来ない。そんな気持ちになった事が恥ずかしくて下を向いて「うん」としか言えなかった。  カバンから慶吾へのプレゼントを取り出す。朝、紗織と麻美に渡したお箸、お弁当包みと同じだけど、慶吾のは可愛い柄じゃなくて、ちょっと渋めの柄で麻の葉模様の黒いものだ。 「明日からお弁当始まるでしょ?これ良かったら使って」 「え?ありがとう!なんかカッコいいじゃん!明日から使うよ」  一応、慶吾の好みはわかってるつもりだからね。  その後、ご飯を一緒に食べて小一時間ほど話をして家に帰った。  自宅に帰ると、お母さんが出迎えてくれた。  僕の写真を撮って、おばあちゃんにメールするらしい。制服姿で改めて写真を撮られるのは少し恥ずかしいけど、高校生になったんだなぁと実感した。 「新しい友達出来た?クラスの雰囲気はどう?」  着替えを済ませた僕はダイニングテーブルに座って、入れてくれたお茶を口にした。 「紗織と麻美とは別々だったんだ。慶吾とも」 「そうなの?誰か仲の良い子は一緒じゃないの?」 「同じ中学の子はもちろんいるけど、そこまで話す子じゃないからね。でも前の席の男の子が話しかけてくれたよ。陸上部に入るんだって」 「へぇ、一緒の部活なんだね。仲良く慣れるといいねぇ」 「うん、慶吾と3人でも話した。同じ部活だねって言ってくれてさ。なんか元気な子」 「そうなの、良かったじゃん。1日目から話せる子出来て」  北野君の雰囲気は少し引っかかるけど、明るくて話しやすいし仲良くなれそうだ。
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!