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慶吾の部屋に着くと、慶吾は「疲れてない?」と言って僕の手を握って、もう片方の手で頭を撫でてくれた。
新しい環境で少し気疲れしていたけど、疲れは一気に吹っ飛んでいった。
抱きつきたい気持ちになったけど、まだそこまで大胆な事は出来ない。そんな気持ちになった事が恥ずかしくて下を向いて「うん」としか言えなかった。
カバンから慶吾へのプレゼントを取り出す。朝、紗織と麻美に渡したお箸、お弁当包みと同じだけど、慶吾のは可愛い柄じゃなくて、ちょっと渋めの柄で麻の葉模様の黒いものだ。
「明日からお弁当始まるでしょ?これ良かったら使って」
「え?ありがとう!なんかカッコいいじゃん!明日から使うよ」
一応、慶吾の好みはわかってるつもりだからね。
その後、ご飯を一緒に食べて小一時間ほど話をして家に帰った。
自宅に帰ると、お母さんが出迎えてくれた。
僕の写真を撮って、おばあちゃんにメールするらしい。制服姿で改めて写真を撮られるのは少し恥ずかしいけど、高校生になったんだなぁと実感した。
「新しい友達出来た?クラスの雰囲気はどう?」
着替えを済ませた僕はダイニングテーブルに座って、入れてくれたお茶を口にした。
「紗織と麻美とは別々だったんだ。慶吾とも」
「そうなの?誰か仲の良い子は一緒じゃないの?」
「同じ中学の子はもちろんいるけど、そこまで話す子じゃないからね。でも前の席の男の子が話しかけてくれたよ。陸上部に入るんだって」
「へぇ、一緒の部活なんだね。仲良く慣れるといいねぇ」
「うん、慶吾と3人でも話した。同じ部活だねって言ってくれてさ。なんか元気な子」
「そうなの、良かったじゃん。1日目から話せる子出来て」
北野君の雰囲気は少し引っかかるけど、明るくて話しやすいし仲良くなれそうだ。
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