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保健体育の授業で得た知識の通り、現れた身体の変化には耐えがたいものがあった。
骨格や筋肉がどんどん男の子から男性へ変わっていく。
口の周りには薄らと髭の様な産毛が生え、そして最も男性を象徴するアレの周りに毛が生える。
改めて自分が男性である事を強調されている様だった。
この身体の変化に対する嫌悪感はつのる一方でお風呂や洗面台の鏡の前で泣いてしまう事も一度ではない。
この段階でも、違和感や不安を誰にも相談出来ず、どうする事も出来なかった。
そんな時、たまたまテレビで性別の多様性について特集されてた番組を観る。
最初は意識して観ていた訳ではなかったけど、自分が認識している性別への違和感、トランスジェンダーの説明がされた時に、テレビに釘付けになった。
身体は男性だけど、心は女性。
そんな風に産まれてくる人もいると。
その逆で身体は女で、心は男の人もいる。
これってもしかして僕の事じゃない?
今まで感じてきた違和感や悩みがテレビの内容と見事に当てはまり、何となく感じていた不安がハラハラと解けていく。
知らず知らずのうちにテレビを観ながら涙を流していた。
今思えば同じ悩みを持つ人が他にいるという安心がそうさせたのかもしれない。
1人でテレビを観ていたから良かったけど、両親が見たら明らかに異常を感じていただろう。
確信に近い情報を得る事が出来た。
僕はやっぱり女の子なのかもしれない。
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