芽生え

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 トランスジェンダーという存在を知ったところで、まだ子どもの自分にはどうする事も出来ずに、ついに中学生になった。  もちろん両親には相談なんてしていないまま。  当然の事ながら、制服は男子生徒のブレザーだし、もちろんスカートなんか履ける訳がない。  中学生にもなるとさすがに自分の好みを表現する方法を見つけ、女の子への憧れから悪目立ちしないくらいの長髪にはしていた。  眉毛もお母さんの毛抜きや剃刀を勝手に借りて少し整えたりした。眉毛くらいなら、バレてもカッコいい?なんて冗談で済んだから。  部活は陸上部に入った。  理由は特にないけど、入って気付いたのはユニホームの形状が男女に殆ど差がなかった。何故か嬉しかった。  その頃の僕の身長は高くも低くもなかったけど体重は平均より軽く、何となく陸上には恵まれていたのかもしれない。  話は少し違うけど僕は他の男子生徒と比べても色が白く、体毛はかなり薄いと思う。  女子陸上部の先輩からキレイな肌してるねーなんて言われて、女の子みたいだねと冗談だとわかっていても嬉しかった。
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