目を閉じて。そして、目は開けて。

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「明後日の日曜日、空いてるかな? この前2人で遊んだ時に“この映画気になってる”って言ってたよね! 一緒に観に行こう!」 金曜日、私が勤める経営コンサルティングのオフィスに現れたのは天野弟二(ていに)君。 25歳の私と同じくらいの年齢だとは知っている。 そして、この会社の社長、天野紅葉さんの腹違いの弟。 紅葉さんと血の繋がらないきょうだいであり旦那さんでもある秘書の雷(らい)さん。 弟二君が雷さんとは血は繋がらないけれど戸籍上の兄弟だとも知っている。 うちの会社がたまに依頼をする調査会社。 紅葉さんの1番上のお兄さんが社長をしている調査会社。 弟二君はそこの社員だとも知っている。 うちの会社が調査を依頼する時は、弟二君が必ず担当していた。 “どんな顔にもなれる” そんな風に事前に言われていたので、色んな顔になれる弟二君を私も知っている。 私は私で、“どんな顔も見抜ける”から。 だから、数年前から話題になっているこの経営コンサルティングの会社に新卒で入社をすることが出来た。
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