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そんな言葉には驚き・・・。
驚くしかない私に、弟二君は困った顔で笑った。
「正確には、双子。
でも、もう1人の兄貴も合わせて3つ子のように振る舞ってる。
俺の家は・・・この会社の社員は知ってると思うけど、複雑だから。
そんな感じで過ごしてたら、仕事でもこう振る舞うことになった。
その方が何かと便利なことが多くて。」
「・・・3つ子のように振る舞ってるって・・・それって・・・3人が、弟二君なの・・・?」
「家族以外は誰も見分けられないし、現場を混乱させるだけだから3人とも“弟二”で通してる。
お互いの情報共有もしっかりしてるから、絶対に分からない。
分かるはずがない・・・。」
弟二君がそう言った後、酷く後悔した顔をした。
表も裏も、酷く後悔した顔をした。
「日下部さんがそこまで分かってるとは見抜けてなかった、ごめんね・・・。
でも、俺の前でだけは“恋をしてる”って・・・知ってて・・・。
たぶんだけど、俺の前でだけだって、“弟達”の共有で分かって・・・。」
弟二君がそう言った後、泣きそうな顔で・・・
「俺は、弟二・・・。
この前は、ごめん・・・。
急に対象者に動きがあって仕事になって・・・。
ドタキャンなんてしたら次はないと思って・・・。
やっと・・・やっと、誘いにも頷いて貰えたのに・・・。
ドタキャンなんてしたら、次はもう存在しないと思って・・・。」
「・・・よく、分からなかったから。
私のことが好きなのかなんなのか・・・。
大好きなのか、愛しているのか、それとも・・・興味はあるけど恋愛ではないのか・・・。
そんな、会う度に不安定な顔をしていたから・・・。」
私は怒った顔でそう言う。
人の顔を見抜ける分、自分も見抜かれないように気を付けているけれど、表でも裏でも怒った顔で言う。
「初めてのデート、それに他の人を寄越すなんて最低。」
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