初恋の思い出

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 それから俺は受験勉強を続け、県内で一番の進学校である男子校に合格した。  そして予言通り、大学で幸太郎と再会することになったのだ。  ところが予想外だったのは幸太郎が一浪だったこと。だから、俺たちは同学年になったのだ。  元々幼馴染で気安く喋れる仲だったので、俺たちは大学時代を同期の親友として過ごした。  笑美里の情報は全て幸太郎から入って来ていた。  相変わらずそそっかしいこと。  勉強は出来るけれどムラがあること。  親が、女の子だからという理由で、浪人はさせないと言っていること。  家事全般が苦手だから、実家から大学に通わせたいと言っていること。  笑美里の話が出る度に、俺はドキドキしていた。  高校卒業まで男子校育ちで、土日は陸上部で部活に明け暮れ、全くと言っていい程女性との接触がなかった俺。大学で共学になったからと言って、そう簡単に女性と喋れるわけじゃなかった。  それに俺の心の中には、ずーっと笑美里が住み着いていた。  そう。あのミルキー味のキスをした時から。  あの日、あの瞬間、俺は恋に落ちたのだ。無邪気で好奇心旺盛な少女に、心を掴まれてしまった。    ◇◇    そして今……俺たちは出会うべくして出会った。俺のホーム、廣澤総合病院で。  一夜の過ちは想定外だったが、この機会を逃すわけには行かない。  とにかく責任は必ず取らせてもらおう!  絶対に笑美里を俺のものにするんだ!
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