後朝はスペシャル朝食プレートで

3/8
前へ
/143ページ
次へ
 はぁ……外に出たらあの人いなくなってないかしら? もう結構時間経ったわよね? 気まずいし、自分の部屋に逃げ帰ってくれていいんだけどな……。  脱衣室に引きこもりたい気分だったが、髪の毛を乾かし終え、これ以上は閉じこもれないので、えいやっ! とドアを開けてみた。そこで見た光景は……。 「あ、あのー?  何をされているんですか?」 「ちょ、朝食を……」  IHのコンロが2つある広めキッチン付き1LDK……の私の部屋のキッチンに宗司先生が立っている。 「朝食を作ってる。卵は借りた」 「……うちに卵以外の食材は」 「さっき俺の部屋から取ってきた」  ……なるほど。この人、隣の部屋だった。  ここは廣澤総合病院のドクター専用マンションだ。研修医はもちろんのこと、新婚さんや家族で住むことができる部屋も完備されていて、ドクターの家族もたくさん住まれている。つまりは社宅。  私は1週間前にここへ引越ししてきたところだ。  そして彼は2日前、突然隣の部屋に引越してきた。私が501号室、彼は502号室の住人だ。  
/143ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2520人が本棚に入れています
本棚に追加