出会い

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 今日も仕事が終わって、夜景を見に行こうと急いで家に帰った。 道が混んでなくて黄昏時に展望台にに着けた。  駐車場に青ちゃんを止めて、見晴らしのいいベンチに座ってまだ夜景になっていない景色をぼーっ眺めていた。 『あの、すみません。』 と、後ろから声が聞こえたので、びくっとして「はい?」っと返事をしながら振り返ってみた。  するとそこには、仕事帰りに寄ったのかスーツ姿の男性が立っていた。不安を感じながら男性の次の言葉を待った。 『えっと…お隣いいですか?』 私はどうするか?どうした方がいいのか一瞬どう答えるか迷って返事をした。 「…えっと、間をあけて…あっ、端に座わってくれはるんやったらいいですよ。」 『ありがとうございます…じゃ、端に座りますね。失礼します。』 と、言いながら端に座った男性。用心と言えないかもしれないけど念の為、男性とは逆の端に座り直した。 『あっ、怖がらしてしまってますよね、きっと。あの、ボクこういう者です。』 と、言いながらスーツの内ポケットから名刺入れを出して、そこから名刺を1枚取り出し渡そうと腕を目一杯伸ばしている男性。  私は、慌てて腕を目一杯伸ばして受け取ろうとしたけど全然届かず、お尻を少しずつ浮かし動かし移動してやっと名刺を受け取る。 「名刺ありがとうございます。でも、私会社で名刺作ってもらってないんで、お渡しできないんです。ごめんなさい。あっ、私、佐藤と言います。」 『佐藤さん…。気になさらないで下さい。』 男性はニッコリ笑いながら答えた。 私は受け取った名刺を見る。 「ええっ!遠藤さん、伏見の日本酒メーカーの○○○にお勤めされてるんですか!?わ、私□□に勤めてるんです!」 『ホ、ホンマですか!?』 2人の大声が静かな展望台中に響き渡っていることに気がつき、お互い周りをキョロキョロ見回して、まだ2人だけしかいなくて顔を見合わせてホッとする。 『何かスゴいご縁ですねー。』 「ホンマですね~!」  その後は、好きな日本酒の話で大いに盛上がった。  初めベンチの端と端に座っていた2人の距離が、帰る頃にはベンチの真ん中の方までお互い近寄っていた。
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