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それから少し経って、お腹が痛いと言う祖母を母が病院へ連れて行った。「どうせ食べ過ぎよ」という母の言葉を裏切るように、祖母にはガンの診断が下され、すぐに入院した。手術でどうにかなる段階ではなかった。
見舞いに行くと、祖母は別段変わった様子は見られなかった。母曰く調子が悪い日はベッドから起き上がることも出来ないという。体重が落ちたと言っても元々丸々としていたので、見た目には変化が分かりづらかった。ある日急に「もう元気になりました」と言われても納得してしまうくらいであった。
けれど時折り、もうあのお食事会が開かれることは二度とないのだなと考えては、その日がぼんやりと輪郭を現した。
病室には日々祖母の子ども、孫、ひ孫が現れ、看護師の方々には「こんなにご家族に囲まれている方も珍しい」と言われた。祖母は私を見るといつも「卒業できるのかい?」と凄んできた。四年生にもなって単位が残っていた私はあまり視線を合わせずに「大丈夫」と答えた。
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