椎名くんは動かない

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「あ」  突然、何かに気がついたような顔つきで、友達の椎名くんが呟いた。  そして彼はおもむろに席を立ち、目を閉じ、気功師のように広げた両手を前に突き出して精神を集中させる。 「何やってんの、椎名くん」 「見りゃわかるだろ」 「分かりません。かめ○め波? かめ○め波出そうとしてるの?」 「違うよ、バカだな藤川。かめ○め波なんか出るわけないだろ」 「じゃあ何が出るの」  椎名くんは目を開け、呆れ顔を私に向けた。 「超能力だよ」  分かってたまるか、ボケ。  
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