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「ダメだ、止まらない!」
十分後、椎名くんはやっと手を下げた。彼の額には漫画みたいに汗が出ていた。
「何を止めようとしてたの?」
「時計の針」
「それ、サイコキネシスじゃなくてタイムストップの能力じゃない?」
「あ、そうか。やばい。他の能力鍛えようとしてたわ」
「全然やばくないと思うけどね」
そろそろこの会話も不毛だなと思い始めた時だった。
「こうなったら、超能力の師匠にアドバイスをもらいに行くか」
「師匠いんの?」
私はびっくりして椎名くんを二度見した。
「師匠は力を隠していて、普段は普通の高校生のふりをしている。だが俺には分かる。同じ超能力者同士、惹かれ合うものがあるからな」
うん。お前は超能力者じゃない。それだけは私も分かる。
「藤川も来る? どうせ暇だろ」
決めつけられるとカチンときてしまうけど、暇だからついていくことにした。超能力の師匠とはいったい誰なのか、マッチ棒大ほどの興味ならある。
そして彼が向かったのは、隣の3組だった。
「沢田、いる?」
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