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「沢田、サイコキネシスも使える?」
「それは無理じゃないかなあ。でも沢田くんがおんみつ中に物を動かしたりすると、物がひとりでに移動したってびっくりする人がいたみたいだけどね」
「なるほど。沢田は透明化能力を持っているんだな。どうやってそれを身につけたんだ?」
「多分、自然と身についちゃったんじゃないかな? 超能力なんて、そんなもんだよ。むしろ、そんな能力持っている方は嫌だなって思うことの方が多いんじゃないかな」
佐藤さんの大人な意見に私は溜飲を下げた。
超能力は身につけるものでもないし、能力者になりたいと思ってなれるわけでもない。
勝手に身についても、苦労するだけか。
すると佐藤さんは私を見て、ニコッと笑った。
「分かってくれてありがとう」
「えっ?」
ちょっと待って。私、一言もしゃべってないんだけど。察し能力すごくない? この子。
もしかして、佐藤さんこそが本物のテレパシストだったりして?
「あなたもなかなかのものみたいね。でも心の中だけで突っ込まないで、ちゃんと言葉で突っ込んだ方がいいよ。じゃないと、私みたいになっちゃうから」
じゃあね、と言って佐藤さんは沢田くんの席の隣に戻った。目を擦ったら、いつの間にか沢田くんが現れていた。
【佐藤さん、あの人たちとどんな話をしてたんだろう……((((;゚Д゚)))))))】
あれ? 今の声は何? 幻聴? 沢田くんのいる方から聞こえてきたみたいだけど……。
「やっぱり師匠はすげえな。思いのままに姿を消したり出したり。俺も修行に励もうっと」
椎名くんは一体何を学んだのか。
……おっといけない。ちゃんと言葉で突っ込まないと。
「修行しても身につくものじゃないんだってば。さあ、帰ろ」
なんだか自分が怖くなってきたから、私はそそくさと自分の教室に戻った。
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