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「「「離婚!!!?」」」 お父さんとお母さん、そして正志まで、3人が驚いた顔でそう叫んだ。 正志なんてこの前“離婚すれば”とまで言っていたのに。 嘘か偽か、本当かも分からない宝田の“大好き”や“愛してる”の言葉に驚く私よりも3人は驚いている。 「俺は完全に甘く見てたよ。 これから起こるであろう色んな予想をしたうえで雪枝に反則技まで使って結婚したけどさ。 結婚生活ってこんなに難しいとは思いもしなかったよね。 雪枝がさ・・・雪枝が、自分の幸せよりも俺の幸せのことを心配しだすとは予想出来てなかった。」 宝田がそんなことを言って、凄く優しい笑顔で私のことを見詰めてきた。 「俺はちゃんと知ってたのに。 雪枝はいつだって誰かの幸せの心配が出来る子だって、俺はちゃんと知ってたのに。 犬猿の仲である俺の幸せのことまで心配することは考えもしてなかった。 俺の幸せを考えて、それで雪枝を苦しませることなんて予想もしてなかった。」 宝田がそう言った後にスプーンを置いて私のお父さんに笑い掛けた。 「雪枝は正仁さんに恋愛相談はないみたいだけどさ、俺は正仁さんに恋愛相談がしたい。 正仁さんの娘である雪枝の結婚相手になった俺でもいいかな? 正仁さんに恋愛相談をする相手、俺でもいいかな?」 宝田の言葉にお父さんの表情が険しくなった。 こんなお父さんの顔を見るのは初めてで。 それに驚いているとお父さんは宝田に真剣な顔で頷き、それから私のことを見てきた。 そして、お父さんさんが口をゆっくりと開いた・・・。 「雪枝、正志、お父さんさ・・・お父さんさ・・・」 そこで言葉を切ったお父さん。 そんなお父さんが涙を流した。 涙を流しながら、何故かお母さんの方を見た。 そんなお父さんにお母さんは大きな溜め息を吐き、サラッと言ってきた。 「この人、お母さんの前に別の奥さんがいたの!! 好きな女とか彼女とかそんなんじゃなくて、奥さんがいたの!! 今まで言わなくてごめんね!!!」
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