700人が本棚に入れています
本棚に追加
お母さんのそんな言葉には固まる。
とっくに知っていたことだけど、とっくに知ってしまっていたことだけど、それでも実際に2人から聞く話には固まってしまった。
そして、我慢していたけど涙が流れてしまった。
涙が流れてきてしまった。
覚悟していたのに。
いつか、もしかしたら言われるかもしれないと思って、私はその時を覚悟していたのに。
その時は“そうなんだ！！”と軽く見えるように答えようと思っていたのに。
なのにそんな言葉は出てこなくて。
他の言葉も出てこなくて。
出てきたのは涙だけだった。
いや、涙だけではなくて鼻水も。
涙と鼻水だけでなくて、嗚咽まで。
そんなのが溢れだして止まらなくなり、私の背中を宝田が優しく擦ってくれる。
お父さんとお母さんの方を見ることも出来ず俯いている私の頭の上から、お父さんの泣き声まで聞こえてきた。
「なんであんたまで泣いてるの！！
あんたのそんな話まで言わなきゃいけない私の方が泣きたいくらいよ！！」
お母さんが怒った声でそう叫び、でも笑いながら言ってきた。
「長峰は私のことが大好きだったのに、詐欺女の詐欺に引っ掛かって結婚したブッサイクな男なんだよ！！
ごめんね、こんなブッサイクな男との間にあんた達を生んで！！
でもお母さんも長峰のこと好きだったから子ども欲しくて！！」
最初のコメントを投稿しよう！