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それからみんなでまた雑談をしながら順番を待っていると、1人の見覚えのある女の子が目立つ格好で走ってきた。
「あの!これ、お二人がウチに置いていきましたか!?」
そう言ってお猪口2つを両手に持って見せてきたのは、あの神社の娘。
巫女の格好をしている可愛い女の子。
お正月にはこの格好で破魔矢や御守りを売っているし、土日もこの格好で神社の掃除をしているので知っている。
そんな女の子が、あの日宝田と私がお賽銭箱の前に置いたお猪口を両手に持って聞いてきた。
「そうだ、それ俺のだ。
ごめんね、その日は俺も長峰もお金を持ってなくて、お金の代わりにそれを置いて神様にお願いしたんだ。」
「凄いね、よくうちらだって分かったね?」
「なんとなく、お二人かなと思って!」
可愛い笑顔で宝田にお猪口を返した女の子に、宝田が言った。
「あの神社凄いね、願い事沢山叶えてくれる神様がいるんだね。」
「そうなんですか?
ウチはお父さんが普通のサラリーマンをしながらなんとなく維持をしている小さな神社ですけどね。
最低限のことしかしていないのでそんな神様いるのかな~・・・。」
巫女の格好をした女の子が首を傾げながらそう言っていて、それには周りにいた人達が大笑いをした。
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