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「狛助君ーー! どうして、行かないでよ。おばあちゃんのご飯好きなだけ食べたらいいじゃない」
わたしは狛犬に戻ってしまった狛助に向かって叫んだ。だけど、狛助は返事をしない。
「ねえ、狛助君も狛子ちゃんも狛犬に戻ってしまったの? 神様何とかしてくださいよ」
わたしは二体の狛犬を愛おしそうな目差しでじっと見つめている神様に言った。
「奈夜ちゃん狛助は自分の意志で狛犬に戻ったのじゃよ。狛子は俺が無理矢理元の姿に戻してしまったがきっとこれで良かったなと思うはずじゃぞ」
神様はこちらに振り向き艶やかな微笑みを浮かべた。
「……でも、そんなの嫌です」
「奈夜ちゃん、俺は決心したのだよ」
神様の優しい声がふわりとわたしの胸に届いた。肩には華夜ちゃんのあたたかい手がのせられている。
「神様もやっぱり帰ってしまうの?」
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