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そんな神様の手の温もりをずっと感じていたくなった。あんなに迷惑だと思っていた神様だったのに。それが今ではずっとわたしのそばにいてほしいと思っているなんて。
人って変わるんだね。なんて他人事のようにわたしは思った。
「じゃあな奈夜ちゃん、華夜ちゃん元気でいるのじゃよ」
わたし達の頭に置かれていた手が離れていく。
わたしは顔を上げ神様の宝石のように澄み輝いている目を見た。隣にいる華夜ちゃんも神様を見上げている
「神様……」
続きの言葉が出てこない。
「あはは、そんな顔をするんじゃないぞ。俺も狛犬もこの神社にいるぞ」
神様はふふっと笑いわたし達の前から去っていく。その背中を見つめているだけで、わたしも華夜ちゃんも何も言えない。
わたしは今日この日のことをずっと忘れないと思う。神様ズルいよ。勝手にやって来て去っていくなんて。自分勝手だよ。
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