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監視カメラに現れた下着泥棒は、伊原だった。
直ぐさま乗り込んで叩きのめしてやろうと思ったが、俺がカメラで盗撮していることを知られるのはまずい。そこで俺は、あの男のことを調べ上げる。
幼い生徒を懐柔して関係を持った恐れがあり、学校を移り歩いている変態だと分かった時にはもう、麻衣や果穂とは連絡がつかなくなっていて…。
間一髪、果穂に覆いかぶさっていた外道を引き剥がし、叩きのめす。
「もう心配するな。これからはパパが果穂を守るから」
そう言うと、果穂は「パパ!」と抱きついてくるではないか。
完全に信頼を取り戻し、以前の父娘の距離感となる。
それはまさに、俺が一番に望んでいたこと。
果穂には可哀想なことをしたが、伊原は実にいい仕事をしてくれた。俺の計画には入っていないものの、後押しをするような働きぶりだといってもいい。
「あまり気にするなよ」
忘れずに、麻衣のことも励ます。
けれど俺には、分かっていた。
麻衣の性格からして、自分を責めるはず。娘を強姦しようとした輩と結婚しようとしていたのだから、その責任は重い。そして、その重みから逃れるために──。
リビングを映し出したカメラには、ワインを煽る麻衣が写っている。
あれから、お酒を片時も手放さなくなっていたんだ。
俺の狙い通り。
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