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「それじゃあ名前も決まった事だし、ここでの生活についての説明をしようかな。カルロス、よろしくね。」
カルロスと呼ばれた使用人は、畏まりましたと言ってから、私のことをじっと見つめて、すぐにニコッと笑った。
「初めまして、ミラリアお嬢様。使用人を束ねる執事長のカルロス=ヒエルマンです。」
「は、初めまして……」
「これから部屋の案内をしつつ、お嬢様専属メイドの紹介などを行いますので、着いてきてもらってもよろしいでしょうか?」
「わかりました…!」
カルロスさんについていき、部屋の案内をされた。カルロスさん曰く基本的にご飯や外出の時はメイドが手伝いをしてくれるみたいだから、何となく覚えていればいいらしい。その後に私の部屋に行って、説明を受けた。
「お嬢様専属メイドの紹介を致しますね。まずはシャーロット・ローアン。お嬢様の生活を支えてくれます。」
「よろしくお願いします、お嬢様。」
それから順調に紹介、その後には1日の流れなども説明された。覚えることが多くて大変だったけど、それでも路地裏に居たときよりも豪華な生活なのはすぐにわかる。
「あのカルロスさん………」
「私どもに敬語や敬称は不要ですよ。」
「えっと……、カルロス。この勉強の時間って、何を勉強するの?」
「語学や芸術、貴族に相応しい礼儀やマナーなどを中心に学習します。今のお嬢様は名門貴族の跡取りでいらっしゃいますから。」
跡取りという言葉の重みを感じた。軽い気持ちで出来るものじゃなくて、真面目に取り組まなくちゃいけないとも思った。
ここが私の新しい人生の始まりの日なんだと、よくも悪くも貴族の人間になった日なんだと、感じた。
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