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アリスはそれから、裏路地の住人に育てられた。中には読み書きが出来る者も居たので、興味本位で覚えた。捨てられているもので小屋を作ってもらい、それを強化したり増築することで、不自由なく楽しく暮らしていた。吸血鬼の弱点である日の光や流水、にんにくも自由を言えない生活をしているうちに耐性がついてしまっていた。
明かりもお金を貯めて蝋燭を買い、構造を見て作り方を覚えて自作して使う。そんな生活を100年ほど続けていると、とある老人にこんなことを言われた。
「アリスはもっといい所に生まれれば、可愛がってもらえただろうねぇ」
「…………それは、私を捨てた家族に言ってほしいかな。私を産んだのは…紛れもないお母さんだから。」
とはいえ、アリスは母親の顔を知らないし、父親の顔も、名前も知らない。アリスが子供の頃に裏路地で育ててくれた人が皆亡くなってしまったからである。覚えているのは、母親が吸血鬼だったということを拾ってくれたおじさまが教えてくれたこと。
「そうだ、おばあちゃん私面白い本を見つけたんだよ!あのね────」
「……………おばあちゃん?」
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