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馬車を降りると、目の前には見たこともないような大きさの家が建っていた。装飾も素晴らしく、私は目を輝かせながら周りを見た。
「……ふふ、今日からここが君の家になるんだよ。ようこそ、ヴィヴィアン公爵邸へ。」
そう言って、あの人は私に手を差し出してきた。だから私は手を取って、家に入った。
家の中はとても広く、外と同じように装飾が素晴らしかった。使用人も沢山いて、私は本当に貴族に養子入りしたんだと実感した。
そんな風に感動しているときに、前の階段から降りてきたのは、金髪でサイドを編み込みした女性だった。
「お帰りなさい、カイル。もしかしてその子が養子で検討していた子?」
「ただいま。ああそうだ、アリスちゃんと言うんだよ。私達の娘になってくれるらしい」
「嬉しい!私女の子大好きなの!」
そう言ってその女性は私に抱きついてきた。なんだか凄く元気な人だなぁと思いながら。
「よろしくね、私はクレア・ヴィヴィアン。お名前は何て言うの?」
「あ、えっと……アリスです。」
「アリスちゃん!とっても素敵な名前ね!…そんな素敵な名前のアリスちゃんに、悲しいお話なんだけどね、お名前を変えなくちゃいけないのよ。」
私は何となくわかっていた。ホームレスの時と同じ名前だったら養子とはいえ毛嫌いする貴族が一定数居るものだ。
(これは大体小説に登場する嫌な貴族の定番なので、知っていた。)
「大丈夫ですよ。私、この名前好きな訳じゃないので……」
「そうなの?ならよかったわ……ふふ、これから考えるつもりだから、一緒に考えましょうね。」
ニコッと笑うクレアさんは、とても優しい人なんだな、と感じた。
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