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僕からみた彼女
下校時刻のチャイムがなった。結局、彼女は図書室に来なかった。理由も何となくわかる。たぶん、以前から付き合いのある子から急に連絡がきてそんなに仲良くもない僕との約束を蹴ったてわけだ。いつも、僕は後回しなんだ。
「ごめんなさい、間に合わなくて、」
彼女から謝罪のチャットが来た。正直、今更かよとも思った。
「大丈夫だよ、やりたかった課題終わったし、僕のことは気にしないで」
なんて、嘘を平然と打っていた。
暑い夏は終わったが、図書館の冷房が切れると蒸し暑さが際立つ。夕焼けの日差しを浴びている階段を降り帰路についた。
「待って、藍沢くん。」
聞き覚えのない声がした。振り返ると日傘に夕焼けの光が反射して顔が見えなかったが甘ったるい匂いをみにまとう人が立っていた。影が近づいて僕たちの影が1つになっていた。
「なんで?さっき、チャットで来ないって」
「ほんとにごめんなさい、私のせいで課題やれてないと思って、、、
今度、埋め合わせさせてほしい。」
「そんな、僕なんて何もしてなくてただ待ってただけだから。」
「私には、それが大事なんだよ。」
彼女の表情が切なげで気になってしまった。
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