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だから僕は、約束を破る。声にならない絶叫を挙げて、空を掴んで、火のついた煙草を握り潰す。
「こんな約束が何になるんだ。約束を守っていれば、どんないいことがあるんだ。君のいない人生を長らえさせるために、どうして生きなければならないんだ。いつになったら、君は迎えに来てくれるんだ。愛なんて一つあればいい。僕の人生にドラマなんていらない」
そんな叫びすら、僕の喉からは出てこない。
これ以上、約束を破りたくはない、だけど。
僕はこれからどうしたらいいのか、彼女の約束は僕に教えてはくれない。
(了)
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