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介錯人
堀部安兵衛武庸は小刀を手にして介錯人に聴きます。
「この様な場にていささかも不埒成れば介錯役殿のお名前をお聴きしたく候え」
刀を大上段に構えし介錯人が答えます。
「某は荒川十太夫になりて候」
堀部安兵衛武庸はさらに介錯人に聴きます。
「して・・いかほどのご身分成れば!」
「お馬廻役二百石を預かりにて候成れば堀部殿の御介錯には一遍も恥いることは御座りませぬ」
堀部安兵衛武庸は荒川十太夫に礼を述べて見事に切腹を致しました。
この堀部安兵衛武庸の切腹介錯人こと荒川十太夫は御目見以下の下士にて徒歩目付で「十二石三人扶持」であり申します。
天下に勇猛果敢にて高田馬場決闘なるは、十八人斬りにての堀部安兵衛武庸が武士に些かも不義理なる事を咄嗟に機転を聴かせての偽りであり申した。
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