やっと、読めた思い

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やっと、読めた思い

俺は、(きゅう)と別れて竹君に電話をした。 プルルル 『もしもし』 「仲直りできた。」 『よかったな』 「家に帰るわ」 『気ぃつけや』 「服、後で取りに行きたいねんけど」 『今日は、有給やからおるよ』 「ほんなら、昼御飯食べへん?俺、仕事休むから」 『ええの?』 「昨日、雨に濡れたせいで、体ダルいし。」 『ほんなら、待ってるわ』 「うん、後で行くわ」 俺は、竹君と電話を切った。 電話をかけて、仕事を休んだ。 「体調に不安があったら、少しでも休む」 そう言われてきた。 ホンマに、体ダルいわ。 俺は、家の鍵を開けた。 キッチンで、お湯を沸かす。 その間に、たつくんの日記をとってきた。 ずっと、開けれんかった。 読んだら、何かが終わりそうで… 最後のページだけ読んだ。 コーヒーを作って、ソファーに座る。 はー、ふー、はー、ふー 深呼吸を繰り返して、日記をめくった。 【体がダルくて、体重が二日で五キロ痩せた。不安がすごくて、九に病院についてきてもらった。】 どうやら、病気が発覚した日からの日記だったみたいだ。 俺は、さっきの続きを読む。 【余命が1ヶ月だと告げられる。嘘みたいに、涙が出なかった。家に帰って、母さんに話すと母さんは泣きながら叔母さんにかけた。死ぬんやなぁー。その涙で、実感した。】 俺は、涙を拭いながら次を見る。 【次の日、九と癌専門病院へ。帰り道、捨て猫を拾った。名前は、龍子(たつこ)と国夫に決定。実家で飼わしてくれた。可愛いなぁー。みんなを癒してくれよ】 たつくんを見つめてた猫やな。 俺は、先を捲る。 たつくんに、俺の気持ちがバレたページを見つけれた。 【サンキューコンビがやってきた。(さん)は、まだ俺を好きなんだろうか?九が、飲み物を買いにいった。三と二人になる。三は、無理して喋らんかった。手を握ってみたら、うつむいた。多分、三は俺がまだ好きや。】 あの時に、バレたんか。 恥ずかしかったもんな。 【一旦退院したのに、また入院になった。悲しくて、辛くて、家族は嫌やったから…。三を呼び出した。個室やから、三に意地悪をした。三は、俺に愛を告白した。なんやろ、悲しい気持ちも辛い気持ちも消えた。愛されるっていいもんやな】 気持ちを告げた日を書いてあった。俺は、ティシュを目にあてながら、次を見る。 【(はち)を忘れられへんのに、三を利用してる。今日は、竹が来た。泣くの我慢してる。俺は、竹をたくさん傷つけた。それやのに、死ぬなって願ってくれて嬉しかった。竹が、帰った後、思った。家族以外の愛が欲しい。だから、三を利用する。】 俺は、ページをペラペラ進めていく。 ゆっくり読みたかった。 長い日記が、書かれてるページで止めた。 【俺は、確実に死ぬ。でも、三は俺のいない日を生きていく。竹のストッパー役を三にお願いしよう。竹は、押されたら断れないのを俺は、知ってる。俺は、八を失くした後、竹に助けられた。竹は、どんな事でも受け入れてくれた。屋外では、したくないって言っても、俺が引っ張っていくと素直にさせた。だから、三の事も優しく包んでくれる事を俺は、知ってる。俺がいなくなった後の世界で、三には竹が必要で、竹には、三が必要なのがわかるから…。だから、二人をくっつけさせたい。三が好きな人を作るなら、俺の知ってる人じゃなきゃ嫌だ。俺は、誰よりもヤキモチやきだ。それに、八にも、そう思ってる。だから、九に八を託したい。竹に三を託したい。】 俺は、また涙が流れてきた。 もう、これ以上は読めなくて日記を閉じた。 竹君の香りが、服からしていた。 たつくん、竹君は、本当に優しいよ。
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