夢現に咲く。

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「氷川さん、落ち着いて、大人しくしてよ!!僕はただ氷川さんの連絡先がほしくて、」 「ヤダ怖い、放してーーーー!!!」 「怖くないって!!氷川さんが僕に話しかけてきたんじゃん!!」 なんで? だって氷川さん、僕に笑いかけてくれたのに。僕に声かけてくれたのに。僕に触られて笑顔だったのに。氷川さんが暴れると髪が揺れて、シャンプーの甘い匂いが僕の鼻をかすめた。 …ああ、人魚の氷川さんにもこの匂い追加だ。 「倫太朗ちゃー-ん。だめだよ、嫌がる女の子にそんなことしちゃ。」 僕が人魚の氷川さんのことを考えていると、どこからともなく東藤の声がした。その声を聞いた氷川さんが必死に東藤に助けを求める。 「と、東藤君!?助けて、東藤君!!いきなり但馬君に腕掴まれて…!!」 「ねーほんと最低だよね、女の子のコトなーんにも分かってない。しかも但馬と氷川さん、帰る道違うじゃん、氷川さんのことストーカーしてきたの?」 !!! 僕がひるんだ隙に氷川さんが僕の腕を振り払って、飛ぶように逃げて行った。 残されたのは、僕と東藤。 東藤は笑ってこっちを見てる。 …なんで。なんで、なんで、なんでなんで!! 「なんで邪魔するんだよ!!!氷川さんが怖がって逃げ、あ゛あ゛あ゛ぁっ!!?」 メキメキッと首の後ろから異常な音がして、強烈な痛みが僕を襲った。 経験したことのない激痛に、僕は地面に膝をつく。 な、何…!? すごく肩が重い、いや全身が動かない、 なんなんだクソッ…!! 「うっわ。そういう妄想してたんだ。これ見たら氷川さんゲロ吐くほど引くだろうなぁ。」 は…!!? わけもわからないまま、自分の後ろを見た。 そして絶句した。 僕の首の後ろからは蔓の長い植物が生えていた。 蔓は背中に向かって伸びていて、背中の真ん中では青色の巨大花が咲いている。 そして本来めしべがあるべき場所には、ギチギチと蔓に巻き付かれ苦悶の表情を浮かべる卑猥な人魚姿の氷川さんが生えていた。
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