夢現に咲く。

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「う、うわあああああああああああっ、なんだこれ!!なんだこれええええ!!!知らない、僕は知らない、見るなああああああ!!!」 自らの歪んだ妄想がはっきりと晒される形となり、僕がパニックで叫び続ける。 それを眺める東藤は酷く嬉しそうな表情だ。羞恥で体の内面から抉られていくような感覚が僕を襲う。 「違うんだ、これは違うんだ!!違うんだああああ!!」 「何が違うわけ??そう言えば、お前言ってたよね。子供に有害だから、リアルとフィクションの区別がつかなくなるから、エロも暴力も規制した方がいいって。 おかしいなぁ、倫太朗ちゃんはママにちゃーんと規制してもらってたのに、こんな卑猥で下品な妄想して、その上その子を夜道でストーカーしちゃうんだ??」 東藤は俺の背中の氷川さんを舐めるように見つめながら不気味な笑みを浮かべた。 人魚の氷川さんは体中をまるで触手に絡めとられているかのような姿で、涙をポロポロと溢している。 違う、違うんだ、そう叫びたいのに、なぜか徐々に息が苦しくなってきて声が出ない。 東藤はしゃがみ込むと、地べたに這いつくばる僕の顔を覗き込んだ。 「前にも言ったけど、ものごとってゆーのはね、何か一つを無くしてしまえば上手くいくとか、そーゆー簡単なもんじゃないんだよ。 すべてが複雑に絡まりあって、そして最後は『本人の意思』なんだ。」 この言葉と同時に東藤の手に人の背丈ほどもある大きな黒い鎌が現れた。 なんなんだ? なんで突然そんなものが現れる!? 東藤っていったい何者なんだ…!? 「そ、それは…」 「ああ、これ?」 東藤は鎌の先を見上げて目を細めた。 「俺、ちょっと変わったガーデニングが趣味の悪魔なんだよね。」 「…!?」 「人は誰しも必ず、心に一粒『種』を持ってんの。その種は現実とフィクションの区別がつかなくなった人間の『感情』を養分にして花を咲かせるわけ。 普通の人は自制したり、冷静に考えたりして、ちゃんとリアルとフィクションに区別と折り合いをつけて生活してるから、種は発芽すらしないんだけど、」 東藤は俺の背中に咲くおっぱいのでかい氷川さんを見てにんまり笑った。
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