2 続・衆人環視の中で言い渡される婚約破棄?

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2 続・衆人環視の中で言い渡される婚約破棄?

 「ちっ、最近の若いヤツは鍛錬が足らん」  壇上の美しい貴婦人はそう言いながら、イリーナに向け美しい緑の瞳を嬉しげに細めると、  「イリーナ、家に帰るぞ。あ~ バッチイ」  ハンカチで先程トーマスの顎にクリーンヒットさせた右手を拭き、それを夜会服の胸の間に突っ込んだ。  「お義母様、やりすぎじゃないかしら」  殴り飛ばされた先で伸びている、トーマスの周りにキャーキャー言いながら集る貴族女性達に冷めた目を向けながらイリーナが答えた。  「馬鹿には丁度いい位の制裁だよ。あれで反省するとは思ってないけどね」  ――ニッコリ美しく微笑んで、優しく私の手を取るお義母様。  「おい! セイブル伯爵」  続けてトーマスの父親を呼びつけると、  「は、はいいいぃ!」  「コレでわかったろう。陛下に報告しとけよ!」  「はいいいぃ!」  涙目の伯爵が直立不動の姿から直角90度のお辞儀をした。  「さ、かえろ。スッキリした?」  「はい。お義母様。気持ちよかったですわ」  そしてエリーナはジュリーにエスコートされ、大騒ぎの会場から優雅にしかも最速で去っていった。――
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