棟上師匠

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家の中が戦場の様になっております。 と、言っても私も戦場がどんなモノか知らないのですが…。 建て増しした先生の家の上棟式を明日、行う事になり、ご近所の方が集まり、朝から上棟式で撒くお餅を搗いております。 希世さんとご近所の主婦の数名で糯米を蒸し、男連中が引切り無しに庭で餅を搗く。 それをまた他の主婦の方が丸めて行く。 早朝からそれを何度繰り返している事か…。 私も例外ではなく、粉塗れになりながらひたすらにお餅を搗いたり、蒸し上がった糯米を運んだり、時にはお餅を丸めたりと、休む暇もありません。 その中でも一番張り切っておられるのは先生で、 「自分の撒く餅は自分で搗く」 と張り切り、ずっと杵を握っておられます。 同じ様に、 「先生が搗かれるのであれば、返し手は私しかいない」 と白井さんもひたすらに先生に相の手を入れておられます。
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