朔月

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朔月

 朔の夜に  光はある  私にはわかる  流浪の運命(さだめ)  漂泊の(みぎわ)に  さまよう魂  抜け殻の心ひとつ  ただ波に消え行く  真実だけを 照らし出す  見えない光が私を射ぬき  其処に落ちる影  仄暗いその影が私の全て 念う新月。裏を返せば朔、失意の暗闇か…… 誰かが笑い誰かが泣く、そんな夜がまたやって来る 。月のない夜はやけに星が近い。一筋の流れ星を合図に、満天の星々が歌い出す。 脳内に静かに響くのは、 ペールギュント『ソルヴェイグの歌』 冬が過ぎると春は急ぎ足で去り 夏が行けば年の終わりを迎えるだけ でも私は信じている いつかあなたは私の胸に帰ってくると 私は待ち続ける約束したから 流れた星は、誰の涙か。 『幸せにお成りなさいな』 静寂のなか、 ふと懐かしい声が、聞こえた気がした。
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