第11話 覚悟を決めたヒロイン

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第11話 覚悟を決めたヒロイン

「一体どういうことだ?断罪されるのはアンジェリカでは無く君だというのかい?」  アイザック王子は優しい声でセリーヌに話しかけるも、既に彼が私に対する横暴な態度は全学生が目撃している。  今更、そんな甘ったるい声を出されても気色悪くて鳥肌しか立ってこない。  う〜寒っ!寒すぎるっ!  そんなくだりはいいから、セリーヌ。さっさと白状してしまいなさいよ。  私は心のなかで急かした。 「はい、アイザック様。アンジェリカ様が私に嫌がらせをしたというのは全くの嘘です!私がさも、アンジェリカ様に嫌がらせを受けたかのように見せかけたのです。友人たちも巻き込んで!」  そしてビシッ!とセリーヌはある方向を指さした。するとそこには数人の女子学生たちが立っている。彼女たちは自分たちが指さされると、肩を大きくビクリと震わせた。  ははぁん……。恐らくあの中の誰かが私のことを『悪役令嬢』と言ったな?恐らくセリーヌに教わった言葉なのだろう。  何故なら『悪役令嬢』などという単語は転生者の私とセリーヌしか知らない言葉なのだから。 「何だって……?君たち、一体それはどういうことだ……?」  惚れた弱み?のせいか、アイザックはセリーヌを責めることが出来ないようで指さされた女子学生たちを振り向いた。 「あ、あの……そ、それは……」 「私達は……別にその……!」 「言われたとおりにしただけなんです!」  女子学生たちはグズグズ言い訳するだけで、何をしたのかも言おうとしない。  するとその様子にアイザックはため息をつくと、セリーヌを見た。 「ほら、彼女たちは答えないじゃないか。つまり……あの女の仲間で、命じられるまま君に嫌がらせを働いたのだろう?!」  そしてアイザックは私を指差し、睨みつけてきた。  ええええっ?!な、何故そうなるのよ?!  駄目だ、やはりあの王子はクズだ。何としてもこの私、アンジェリカを断罪したいらしい。それほどアンジェリカは憎まれていたのだろう。  私はチラリとセリーヌを見た。セリーヌは固まったまま、何故か一言も口を利こうとしない。  ちょっと!どうしたのよ!このまま黙っていたら私は間違いなく断罪、そして貴女はこの俺様王子と婚約させられるのよ‼  必死で心のなかでセリーヌに訴える私。すると私の気持ちが通じたのだろう。 「待って下さい‼ほ、本当に悪いのはアンジェリカ様ではありません!私なんです!私がアンジェリカ様からアイザック様を奪いたくて、わざと嫌がらせを受けたようにしむけたのです!」  セリーヌが大きな声で喚いた。 「何?本当に……本当の話なのか?」  目を見開くアイザック。 「そうです、アイザック様!アンジェリカ様は一切私に嫌がらせをしたことはありません!全ては私がでっち上げた嘘なのです!今からそれらの嘘を申し上げます!」 セリーヌは観念したかのように今までついてきた嘘を語り始めた――。
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