第8話 悪役令嬢の形勢逆転?

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第8話 悪役令嬢の形勢逆転?

 私は遠くからセリーヌがアイザックと何やら話している姿を腕組みしながら見つめていた。  セリーヌの話にアイザックは驚いているようで目を見開いている。しかし、私の方を見ないということは……恐らくセリーヌは私から情報を聞いたことは伏せているのだろう。  でもそれは当然のことだ。仮に私から話を聞いたと聞かされれば、当然アイザックは私を呼び出すだろう。そして私の口からこの世界はゲームの中の世界で、セリーヌの攻略対象キャラだったと言う話をされれば、困ることになるからだ。    やがて、話は終わったのだろう。セリーヌはこちらを振り向くと急ぎ足で私の元へとやってきた。 「それでどうだった?アイザック王子には確認取った?」 するとセリーヌは興奮気味に頷いた。 「確認したわ。そしたら貴女の言う通りアイザック様は寮には内緒で真っ白なウサギを飼育していたわ。名前も同じエリザベスだった……!何故その話を私が知っていると驚かれたけど、バート様から聞いたと嘘を言って切り抜けたわ!」 「そうなの?」  可哀想に……。人の良いバートを巻き添えにするとは。 「やっぱり貴女の言うことは正解だった……と、言うことは……貴女は星野愛?!」 「だから、さっきからそう言ってるでしょう?納得したなら、今から私のする話をよく聞くことね。これは貴女の一生に関わる話になるから」 「わ、分かったわ……」  ゴクリと頷くセリーヌ。 この瞬間、私は思った。ついに勝機を見出したと。 「それではまず初めに教えてあげる。私を追放した後、貴女はアイザック王子と結ばれることになるけれど……本当に幸せになれると思っている?」 「え……?どういう事?」 「考えても見て?アイザック王子の私に対するあの態度、どう思う?」 「どうって……」 「典型的なDV男だと思わない?」 「え?!」 セリーヌの顔が青ざめた。更に私は彼女を追い詰める。 「もともとアイザックはあんなキャラ設定じゃ無かったのよ」 ここで私はわざとらしくため息をつく。 「え?!そ、それじゃどういう正確だったの?!」 「本当は誰にでも親切で優しい……そう、バートみたいな性格だったのよ。けれど制作会社の意向でアイザックを俺様王子にしてくれと言われてやむを得ず、変更したのよ」 「お、俺様王子って……?」 「それがアイザック王子の私に対する態度よ。あれが女性に対する態度だと思う?つまり、彼は自分にとって、どうでも良い女性にはあんな態度を取るのよ。典型的なDV男よ。大体……アイザック王子がいつまでも自分のことを愛してくれると思ってる?」 「え……?ち、違うの……?だ、だって、『ムーンライトの騎士』には、アイザック王子と婚約するところで話が終わっているから……その先の話なんて、私知らないわ」 首を振るセリーヌ。 ここで私は止め?の台詞を言う。 「実はね……ここだけの話だけど『ムーンライトの騎士』のファンディスクが発売されることになっていたのよ。そのシナリオを書き上げたところで……どうやら私は過労死してしまって、この世界に転生してしまったみたいだけど」 「ファ、ファンディスク?!そ、それじゃあのゲームの続きがあるってことなの?!」 セリーヌが目を見開いて、私を見た――。
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