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こんな感じの週末を数ヶ月続けたのだが…… この宗教の理念が全く以て理解できなかった。聖書も、一般的(定義は曖昧だが、ホテルとかに置いてありそうなものと理解いただければありがたい)なものと比べて、内容が乖離しているものであると気がついた。
キリスト教の代表的な教義と言えば「三位一体」であるが、この宗教団体は三位一体の教えを徹底的に抹消しているのである。
三位一体とは、簡単に言えば「父(神)、子(イエス・キリスト)、精霊(天使・使徒)」この三つが一つの「唯一絶対神」であるという教えである。
キリスト教の大半の宗派がこれを正統教義としており、これを否定する宗派は全てが異端であると見做されている。皮肉なことに、私がそれを学んだのは深田と出会う切欠となった宗教学の講義の時であった……
この宗教団体の人たちは「クリスチャン」を自称しているが、肝心のイエス・キリストに関しては三位一体を否定している故に、神の子というよりは「使徒」に扱いが近く、イエス・キリストを軽視しているような雰囲気を感じてならなかった。
この数ヶ月のうち、週末に予定が入り集会を欠席することもあったのだが、その度に深田経由や、電話番号やメールアドレスを交換した兄弟姉妹から「今日はどうしてお見えにならなかったのですか」と質問が来た上で「本気で心配していたのですよ」と言われるもので、休むだけで罪悪感を覚えるようになっていた。
この数ヶ月でやめなかった理由は…… 私が頼みを断りきれない優柔不断な性格に加え、深田を傷つけたくないと言う気持ちがあったのかもしれない。
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